講演料の源泉徴収、もう迷わない!必要・不要の判断基準を徹底解説 - 「Hitonova」(ヒトノバ) - 講演依頼・研修依頼・講演会の講師派遣

Special 講演料の源泉徴収、もう迷わない!必要・不要の判断基準を徹底解説

この記事はこんな方におすすめ
・講演会・研修の支払いを初めて担当する経理・総務の方
・「個人/法人」の判断で毎回迷ってしまう方
・インボイス制度開始後の処理に不安がある方

企業の経理や総務を担当されている方にとって、セミナーや研修などで講師の方に報酬をお支払いする際に必ず直面するのが「源泉徴収」の判断ではないでしょうか。源泉徴収が必要なケースと不要なケースの線引き、正確な税額計算、さらには2023年10月から始まったインボイス制度との関連、そして支払い後の手続きまで、一連の業務は多岐にわたります。

この記事では、源泉徴収の必要・不要を判断する際の最も重要なポイントである「支払先が個人か法人か」を軸に、皆様が抱える具体的な疑問や不安を解消できるでしょう。複雑に思える源泉徴収のルールを分かりやすく解説し、税務上のリスクを避けつつ、スムーズに処理を進めるための知識を網羅的にご提供します。

本ページの内容は、国税庁が公開している「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」(出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm)を参考資料として一部引用・要約したうえで、当サイト独自の視点で整理・解説したものです。原文をそのまま転載するものではなく、内容の理解を深めることを目的に構成しています。
税務の取扱いについては、最終的には国税庁の公式情報や最新の法令・通達をご確認ください。

目次
  1. はじめに|講演料の源泉徴収は「誰に支払うか」で決まる
  2. そもそも源泉徴収とは?経理担当者が知るべき基本
  3. 【フローチャートで簡単診断】講演料の源泉徴収、必要?不要?
  4. パターン別|講演料の源泉徴収が必要・不要になるケースを詳解
  5. 【具体例付き】講演料の源泉徴収税額の計算方法
  6. 交通費・宿泊費は源泉徴収の対象?迷いやすい費用の取り扱い
  7. 源泉徴収後の手続き|担当者がやるべき3つのこと
  8. 講演料の源泉徴収に関するよくある質問(FAQ)
  9. まとめ|チェックリストで講演料の源泉徴収を完璧にこなそう

はじめに|講演料の源泉徴収は「誰に支払うか」で決まる

講演料の源泉徴収が必要かどうかを判断する上で、最も重要なポイントは「誰に報酬を支払うのか」という点に尽きます。具体的には、支払先が「個人」なのか、それとも「法人」なのかによって、源泉徴収の要否が決定されます。

原則として、個人の方に講演料をお支払いする場合には、所得税法に基づき源泉徴収が必要です。一方で、法人に対して講演料をお支払いする場合は、法人が自ら法人税を申告・納付するため、支払者側での源泉徴収は不要となります。このシンプルなルールを理解するだけで、実務における多くのケースに対応できるようになり、皆様の心理的なハードルは大きく下がるはずです。

本記事では、この「個人か法人か」という基本原則を深掘りし、具体的な税額の計算方法、実務上の注意点、さらには迷いやすい特殊なケースまで、一つひとつ丁寧に解説していきます。

そもそも源泉徴収とは?経理担当者が知るべき基本

源泉徴収とは、報酬や給与などを支払う側である企業が、受け取る側である個人の所得税をあらかじめ差し引いて、本人に代わって国に納付する制度のことです。これは、国が税金を効率的かつ確実に徴収するために設けられており、税金の徴収漏れを防ぐという大切な役割を担っています。

この制度は、給与だけでなく、講演料や原稿料、弁護士費用など、所得税法で定められた特定の報酬についても適用されます。つまり、会社が講師に講演料を支払う際も、法律によって源泉徴収を行う義務が生じることがあるのです。経理担当者としては、この源泉徴収が単なる事務手続きではなく、所得税法で定められた納税義務の一部であることをしっかりと認識しておく必要があります。

源泉徴収を行うことで、受け取った個人は確定申告の際にすでに一部の税金を納めている状態となり、税務処理が簡素化されるメリットもあります。支払う側、受け取る側の双方にとって重要な制度であることを理解し、正確な処理を心がけましょう。

【フローチャートで簡単診断】講演料の源泉徴収、必要?不要?

フリー

講演料の源泉徴収が必要かどうか、自身のケースで簡単に判断できるフローチャートをご用意しました。以下のステップに沿って確認することで、迷わずに源泉徴収の要否を診断できます。

講演料の源泉徴収の要否判断フロー

START:講師への報酬支払いが発生

質問1:支払先は「個人」か「法人」か?

– 「法人」の場合 → 源泉徴収は不要です。法人は受け取った報酬を自社の売上として計上し、法人税として申告・納付するため、支払者側での源泉徴収は必要ありません。

– 「個人」の場合 → 質問2へ進みます。

質問2:支払う報酬は所得税法で定められた源泉徴収の対象か?

– 「はい(講演料など)」 → 源泉徴収が必要です。講演料は所得税法で定められた源泉徴収の対象となる報酬に該当します。

– 「いいえ」 → 源泉徴収は不要です。所得税法で源泉徴収の対象と定められていない報酬であれば、源泉徴収は不要です。

このフローチャートを活用することで、皆様のケースにおける源泉徴収の要否を迅速かつ正確に判断できます。次からは、それぞれの判断基準についてより詳しく解説していきます。

ここが間違いやすい!よくある勘違い
① 有名講師だから源泉徴収は不要 → 関係ありません(個人なら必要)
② 請求書に消費税が書いてあるから不要 → 源泉徴収とは別問題
③ 所属会社があるから法人扱い → 契約相手が個人なら必要

パターン別|講演料の源泉徴収が必要・不要になるケースを詳解

源泉徴収の要否を判断するにあたり、最も重要なのは支払先が「個人」なのか「法人」なのかを正確に確認することです。これは、単に請求書に記載された名義だけでなく、契約書の内容や実際の取引実態によって判断が分かれることもあります。例えば、講師からの請求書に法人名が明記されているか、あるいは個人名義で発行されているかを確認することが、最初の具体的なアクションとなります。この確認が、源泉徴収が必要なケースと不要なケースを明確に分ける分岐点となりますので、次項でそれぞれ詳しく解説していきます。

源泉徴収が必要なケース:支払先が個人の場合

講演料の支払先が個人の場合、原則として源泉徴収が必要です。これは、所得税法第204条第1項第1号において「講演の報酬・料金」が源泉徴収の対象と定められているためです。具体的には、フリーランスとして活動されている講師の方や、大学教授、コンサルタントといった肩書きを持つ個人事業主の方への支払いがこれに該当します。講師の専門分野や肩書きに関わらず、法人としてではなく個人として契約し、支払いを行う場合はすべて源泉徴収の対象となります。

この判断の具体的な材料としては、講師の方から受け取る請求書の名義が個人名になっているかどうか、また、契約書に記載されている契約相手が個人であるかどうかを確認します。たとえその講師が他の法人に所属していたとしても、貴社との契約が個人名義で行われ、報酬が個人に支払われる場合は、源泉徴収を行う義務が生じます。

したがって、講演を依頼する際は、事前に講師の身分(個人か法人か)を明確にし、請求書の提出形式についても確認しておくことが、円滑な事務処理の鍵となります。個人への支払いで源泉徴収を怠ると、税務調査の際に指摘を受け、追徴課税が発生するリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

源泉徴収が不要なケース:支払先が法人の場合

講演料の支払先が法人の場合、源泉徴収は原則として不要です。その理由は、法人が受け取った報酬は、その法人の事業収入として計上され、法人自身が法人税法に基づき、確定申告を行って納税する義務を負っているためです。つまり、支払う側である貴社が税金を差し引く必要はなく、全額を法人に支払います。

ただし、ここで注意が必要なのは、講師が法人に所属している場合でも、契約相手が法人そのものであることをしっかりと確認する点です。例えば、「株式会社〇〇コンサルティング」といった法人名義の請求書を受け取っているか、あるいは契約書において相手方が法人名で明記されているかを確認することが重要です。万が一、講師が法人の役員や従業員であっても、個人名義で契約・請求が行われている場合は、源泉徴収が必要なケースに該当することになります。

支払先が法人の場合は、源泉徴収の手間は省けますが、請求書や契約書の記載内容をしっかりと確認し、実態が法人との取引であることを証明できるようにしておくことが肝要です。これにより、後々の税務上のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな経理処理を進めることができます。

【具体例付き】講演料の源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収が必要だと判断された後、具体的な税額の計算に移ります。講演料の源泉徴収税率は、所得税10%に復興特別所得税0.21%を加えた合計10.21%が基本となります。この復興特別所得税は、2037年までの時限的な措置として課されるものです。

ただし、支払う講演料の金額によっては、税率の計算方法が2つのパターンに分かれます。次の項目では、それぞれのパターンに応じた計算式と具体的な例を詳しく解説していきますので、ご自身のケースに合わせてご確認ください。

報酬が100万円以下の場合の計算式と具体例

講演料が100万円以下の場合、源泉徴収税額の計算は比較的シンプルです。以下の計算式を適用します。

源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%

具体例として、講師Aさんに講演料として10万円を支払うケースを考えてみましょう。この場合、100,000円に10.21%を乗じると、源泉徴収税額は10,210円となります。したがって、講師Aさんへの手渡額は、100,000円から10,210円を差し引いた89,790円です。支払総額、源泉徴収税額、差引支払額を明確にしておくことで、後の会計処理もスムーズに進められます。

報酬が100万円を超える場合の計算式と具体例

講演料が100万円を超える場合、源泉徴収税額の計算は二段階になります。これは、100万円までの部分と100万円を超える部分とで適用される税率が異なるためです。計算式は以下のようになります。

源泉徴収税額 = (支払金額 – 100万円) × 20.42% + 102,100円

この計算式が複雑に見えるのは、100万円までの部分には10.21%が、100万円を超える部分には20.42%が適用されるためです。

具体例として、講師Bさんに講演料として150万円を支払うケースを考えてみましょう。
まず、100万円を超える部分の50万円に対して20.42%を乗じると102,100円になります。これに、100万円までの部分にかかる源泉徴収税額102,100円(100万円 × 10.21%)を加算します。したがって、(1,500,000円 – 1,000,000円) × 20.42% + 102,100円 = 204,200円が源泉徴収税額となります。講師Bさんへの手渡額は、1,500,000円から204,200円を差し引いた1,295,800円です。

このように、支払総額、源泉徴収税額、差引支払額を正しく計算し、明確に伝えることが重要です。

注意点:消費税やインボイス制度との関係

講演料の源泉徴収を行う際、経理担当者が特に注意すべき点が、消費税の取り扱いやインボイス制度との関連性です。

まず、消費税の取り扱いについてご説明します。
請求書に報酬額と消費税額が明確に区分されて記載されている場合は、原則として報酬額のみを源泉徴収の対象とすることができます。例えば、「講演料10万円、消費税1万円」と記載があれば、源泉徴収の計算対象は10万円のみです。しかし、請求書に報酬と消費税が明確に区分されておらず、「税込総額11万円」といった形で記載されている場合は、その税込金額全体を源泉徴収の対象としなければなりません。誤って税抜きで計算しないよう注意が必要です。

次に、2023年10月から導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)との関係性についてです。
講師が個人事業主の場合、その講師が適格請求書発行事業者として登録していないと、支払い側(貴社)が支払った消費税分を仕入税額控除できなくなる可能性があります。これは貴社の納税額に影響を与えるため、講師が適格請求書発行事業者であるかを確認し、必要に応じて対応を検討する必要があります。ただし、インボイス制度は源泉徴収の要否判断そのものには直接影響しません。源泉徴収は所得税に関するものであり、インボイス制度は消費税に関する制度であるため、これらを混同しないよう注意しましょう。

交通費・宿泊費は源泉徴収の対象?迷いやすい費用の取り扱い

講演料と合わせて支払うことが多い交通費や宿泊費について、源泉徴収の対象となるのかどうかは、経理担当者の方々からよくいただくご質問です。結論から申し上げますと、その交通費や宿泊費の「支払われ方」によって源泉徴収の必要性が変わってきます。重要な判断基準は、それが「報酬の一部」として支払われるのか、それとも「経費の立替・実費精算」として扱われるのかという点です。

この違いを理解することが、講演料に関する源泉徴収を正確に行う上で非常に重要になります。次に、それぞれのケースについて具体的に詳しく見ていきましょう。

報酬に含まれる場合(源泉徴収の対象)

交通費や宿泊費が源泉徴収の対象となるのは、それらが講演料や謝礼と一体となり「報酬の一部」として支払われるケースです。例えば、請求書に「講演料(交通費・宿泊費込み)として合計〇〇万円」と記載されており、報酬と交通費の内訳が明確に分かれていない場合がこれに該当します。この場合、交通費や宿泊費も報酬の一部とみなされ、源泉徴収の計算対象となります。

具体的な例を挙げましょう。講師の方に「講演料9万円、交通費1万円を合わせて10万円」を支払う場合、もし交通費が報酬の内訳として明確に区分されていないのであれば、この10万円全体に対して源泉徴収を行う必要があります。計算式は100,000円 × 10.21% = 10,210円となり、この10,210円を源泉徴収税額として差し引くことになります。

このように、報酬と交通費などがまとめて請求される場合は、支払総額に対して税率を乗じて源泉徴収を行うと覚えておくと良いでしょう。

立替経費として実費精算する場合(源泉徴収の対象外)

一方で、交通費や宿泊費が源泉徴収の対象外となるのは、講師の方が一時的に立て替えた費用を、企業が領収書などの証拠に基づいて「実費精算」するケースです。この場合、交通費や宿泊費は講師への「報酬」とはみなされず、あくまで企業が負担すべき「経費」の精算であるため、源泉徴収の対象にはなりません。

例えば、講師の方から講演料とは別に、新幹線代やホテルの宿泊費の領収書が提出され、その実費分を精算する場合がこれに該当します。この際には、交通費や宿泊費の金額に対して源泉徴収を行う必要はありません。また、企業が直接、講師の交通手段(新幹線のチケット手配など)や宿泊先を予約・支払いを行った場合も、講師への報酬ではないため源泉徴収は不要です。

実務においては、報酬と経費の区別を明確にすることが非常に重要です。請求書の内訳や契約内容を確認し、報酬と経費をきちんと分けて処理することで、適切な源泉徴収を行うことができます。

源泉徴収後の手続き|担当者がやるべき3つのこと

源泉徴収税額を計算し、講師への支払いを終えた後も、経理や総務の担当者にはいくつかの重要な事務手続きが残っています。これらの手続きを正確かつ期限内に行うことで、税務上のトラブルを未然に防ぎ、スムーズな経理業務を維持できます。

このセクションでは、「1. 源泉所得税の納付」「2. 支払調書の作成・提出」「3. 講師への支払調書交付」という3つのステップに分けて、時系列に沿って詳しくご説明します。これらの手順を把握することで、講演料に関する一連の業務全体を迷いなく進められるようになります。

1. 源泉所得税の納付(期限と方法)

源泉徴収した所得税は、会社が講師から預かった税金として、国に納付する義務があります。この納付には厳格な期限が設けられており、原則として「報酬を支払った月の翌月10日」までとなっています。例えば、10月中に講演料を支払った場合は、11月10日が納付期限となります。

納付方法としては、主に以下の二つがあります。
一つは、金融機関(銀行、信用金庫など)や所轄の税務署窓口で、「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて現金で納付する方法です。この納付書は税務署や国税庁のウェブサイトで入手できます。
もう一つは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用した電子納税です。e-Taxを利用すれば、自宅やオフィスからインターネット経由で手軽に納付できるため、業務効率化にも繋がります。

また、給与の支払いを受ける従業員が常時10人未満の会社の場合、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出することで、源泉所得税を年2回にまとめて納付できる「納期の特例」が利用できます。この特例を利用すると、手間を大幅に削減できるため、自社が対象となるかどうかを確認し、利用を検討してみることをおすすめします。

2. 支払調書の作成と税務署への提出

源泉徴収の対象となる報酬を個人に支払った場合、会社は税務署に対して「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出する義務があります。この支払調書は、誰に、どのような内容で、いくら支払ったか、そしていくら源泉徴収したかを税務署に報告するための重要な書類です。

支払調書の提出義務は、同じ個人に対して年間の支払金額が5万円を超える場合に発生します。例えば、ある講師に対して年間で合計5万円を超える講演料を支払った場合は、その講師に関する支払調書を作成し、税務署に提出しなければなりません。提出期限は「報酬を支払った年の翌年1月31日」です。

支払調書は、国税庁のウェブサイトから専用のフォーマットをダウンロードして作成することができます。また、多くの会計ソフトや給与計算ソフトには、この支払調書を自動的に作成する機能が搭載されているため、活用することで作成の手間を大幅に削減できます。正確な情報を記載し、期限内に提出することを徹底しましょう。

3. 講師への支払調書の交付(任意)

税務署に提出する支払調書とは別に、講師本人にも同様の情報を記載した書類を交付することがあります。この講師への交付に関しては、税法上は義務付けられていません。

しかし、講師は受け取った支払調書を基にして確定申告を行うことが多いため、実務上は、支払調書(またはこれに代わる支払い明細書など)を講師本人に交付するのが一般的です。これは、講師が自身の所得を正確に把握し、スムーズに確定申告を行うために必要な情報を提供することになり、結果として講師との良好な関係を築く上でも有効な対応と言えます。

交付の際には、「確定申告の際に必要となる場合がありますのでご査収ください」といった一言を添えると、より丁寧な印象を与えられます。義務ではないものの、講師への配慮として交付することで、講師との信頼関係を深め、将来的なトラブルを未然に防ぐことにも繋がるでしょう。

講演料の源泉徴収に関するよくある質問(FAQ)

講演料の源泉徴収については、基本的なルールを理解していても、個別のケースでは判断に迷うことがあるかもしれません。ここでは、これまで解説してきた内容ではカバーしきれない、実務でよくある疑問や、担当者が特に注意すべき点についてQ&A形式で詳しく解説します。具体的な事例を通して、より実践的な知識を身につけ、日々の業務に役立てていきましょう。

Q. 講師が海外在住の場合はどうなりますか?

講師が海外に居住している方(非居住者)である場合、源泉徴収の扱いは国内居住者とは異なります。原則として、日本国内で行われた講演に対する報酬は、所得税法に基づき源泉徴収の対象となります。この場合の税率は、所得税が20%に加えて、復興特別所得税0.42%が加算され、合計で20.42%となります。国内居住者の税率10.21%とは異なるため注意が必要です。

しかし、講師の居住国と日本との間に「租税条約」が締結されている場合、その条約の内容が優先され、源泉徴収税率が軽減されたり、場合によっては免除されたりすることがあります。この適用を受けるためには、講師から事前に「租税条約に関する届出書」を提出してもらい、税務署に提出する手続きが必要になります。この届出書がない場合は租税条約の適用を受けられず、20.42%の税率で源泉徴収を行う必要がありますので、契約締結前の確認が非常に重要です。

Q. 謝礼ではなく「賞金」として支払う場合は?

講演の謝礼ではなく、コンテストの賞金や懸賞の賞品として金銭を支払う場合も、源泉徴収の対象となる報酬・料金に含まれます。ただし、この場合の源泉徴収税額の計算方法には特別なルールがありますので注意が必要です。

具体的には、支払う賞金の額が50万円以下の場合は、賞金額から50万円を差し引いた残額に対して10.21%の税率で源泉徴収を行います。例えば、40万円の賞金を支払う場合は、50万円以下であるため源泉徴収は不要となります。一方で、70万円の賞金を支払う場合は、70万円から50万円を引いた20万円に対して10.21%を乗じた金額、つまり20,420円が源泉徴収税額となります。

この計算方法は講演料の源泉徴収とは異なるため、謝礼の名目が「賞金」となる場合は、この特例計算を適用することを覚えておくと良いでしょう。報酬の名称だけでなく、その実態に応じて適切な税務処理を行うことが求められます。

Q. 源泉徴収を忘れた・間違えた場合のリスクと対処法は?

源泉徴収は支払う側の義務であり、もし源泉徴収を忘れてしまったり、計算を間違えたりした場合、税務調査で指摘されるとさまざまなリスクが生じます。最も大きなリスクは、本来納めるべきだった税額に加えて、「不納付加算税」や「延滞税」といった追徴課税が発生することです。不納付加算税は納付すべき税額の10%(期限後でも自主的に納付すれば5%)が加算され、延滞税は納期限の翌日から納付までの期間に応じて発生します。これらの追加費用は、会社の負担増となるだけでなく、経理担当者の責任問題にもつながりかねません。

もし源泉徴収のミスに気づいた場合は、速やかに自主的な対応をとることが重要です。まずは、不足していた源泉徴収税額を計算し、税務署へ「不納付加算税の特例」が適用される自主的な修正申告を行い、すぐに不足分を納付しましょう。自主的な修正申告を行うことで、不納付加算税が軽減される場合があります。このような事態を避けるためにも、不明な点があればすぐに税理士や所轄の税務署に相談し、適切なアドバイスを受けることが非常に大切です。日頃から正確なチェック体制を整え、ミスを未然に防ぐ努力が求められます。

Q. 講師に源泉徴収についてどう説明すれば良いですか?

講師(特に個人事業主)の方に源泉徴収について説明する際、専門用語ばかりでは理解しづらく、誤解を招く可能性もあります。丁寧かつ明確に伝えることで、講師との信頼関係を築き、スムーズなやり取りを行うことができます。契約時や請求書依頼の段階で、あらかじめ説明しておくのが良いでしょう。

例えば、以下のようなフレーズを使って説明すると効果的です。「所得税法に基づき、お支払いする講演料から源泉徴収をさせていただきます。」「お支払いする報酬〇〇円に対し、源泉徴収税額は〇〇円となりますので、実際にお受け取りいただく金額は〇〇円となります。」「源泉徴収票は、確定申告の際に必要となる場合がありますので、ご希望であれば後日お送りいたします。」このように、法的な根拠を示しつつ、具体的な金額を提示し、今後の手続きについても案内することで、講師は安心して報酬を受け取ることができます。

また、講師からの質問に対しては、事前に本記事で解説した内容を踏まえ、なぜ源泉徴収が必要なのか、どのように計算されるのかを簡潔に説明できるように準備しておきましょう。自信をもって専門的な説明をすることで、貴社の信頼性も高まります。

実務ワンポイント(迷ったらここだけ確認)
・契約書の「契約相手名」
・請求書の「名義(個人名 or 法人名)」
・報酬と交通費の「内訳の有無」
→ この3点が揃えば、源泉徴収判断の9割は解決します。

まとめ|チェックリストで講演料の源泉徴収を完璧にこなそう

源泉徴収

ここまで、講演料の源泉徴収について、必要・不要の判断基準から具体的な税額計算、さらには支払い後の手続きまでを詳しく解説してきました。多様なケースがある講演料の源泉徴収ですが、この情報が日々の業務の一助となれば幸いです。

最後に、これまでにご説明した重要なポイントをまとめたチェックリストをご紹介します。このリストを活用していただくことで、講演料の支払いに関する源泉徴収業務を漏れなく、正確に、そして効率的に進めることができるでしょう。一つひとつの項目を確認しながら、自信を持って業務に取り組んでください。

このチェックリストを日々の業務にお役立ていただくことで、講演料の源泉徴収に関する不安が解消され、正確な税務処理を通じて社内外からの信頼もさらに高まることでしょう。


【① 支払い前に確認すること】
□ 支払先は個人法人かを確認した
□ 契約書の契約相手名が個人名 or 法人名で明確になっている
□ 請求書の名義が契約内容と一致している
□ (個人の場合)講演料が源泉徴収の対象報酬であることを確認した
□ 講演料と交通費・宿泊費の区分が明確になっている
□ (個人の場合)消費税の記載方法(税抜・税込)が確認できている
□ (個人・海外講師の場合)居住区分・租税条約の有無を確認した
□ 源泉徴収が発生する旨を事前に講師へ説明した

【② 支払い時に確認すること】
□ 適用税率を確認した
  ・国内居住者(個人):10.21%
  ・非居住者:20.42%
□ 講演料が100万円以下/超かを確認した
□ 正しい計算式で源泉徴収税額を算出した
□ 源泉徴収税額を差し引いた正しい金額を支払った
□ 支払金額・源泉徴収額を会計帳簿に正しく記録した

【③ 支払い後に行うこと】
□ 源泉所得税を支払月の翌月10日までに納付する準備をした
□ (納期の特例を利用している場合)納付スケジュールを確認した
□ 年間5万円超の個人講師について支払調書の作成対象に含めた
□ 翌年1月31日までに税務署へ支払調書を提出する予定を立てた
□ 講師へ支払調書(または支払明細)を交付するか判断した

【④ よくある見落とし防止チェック】
□ 「有名講師だから法人扱い」と誤解していない
□ 消費税と源泉徴収を混同していない
□ 交通費・宿泊費を報酬に含めて処理していないか確認した
□ 源泉徴収漏れ・計算ミスがないかダブルチェックした


講演料の源泉徴収や支払い実務を理解した上で、次に重要なのは予算に合う講師選びです。講演料の目安ごとに、実際に依頼可能な講師をご紹介しています。

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